2008-07-07 [Mon]
LcWネタバレ、かつL真希SSです。
「観てないよ!」「L真希なんてやだよ!(<恋愛要素は極めて低いですが)」という方はバックバック。
「観てないよ!」「L真希なんてやだよ!(<恋愛要素は極めて低いですが)」という方はバックバック。
無人となったビルの一角で、少女はその建物の主を待ち続けていた。
病院を抜け出して、どのくらい経っただろう。
「駿河さん…私いつごろ退院出来るかな?退院したらLに会いに行きたい。お礼が言いたい」
真希の問いに、駿河は声を詰まらせ、表情を曇らせた。
Lがどのようにしてキラ事件を解決したかを聞いていたからだ。
『駿河さん、真希さんは強い子ですでも。何かあったら彼女の力になってあげて下さい』
身寄りを亡くした真希を思い、クマのぬいぐるみと共にLから託された言葉。
少女の真っ直ぐな瞳は、優しい嘘では誤魔化せそうになかった。
「真希ちゃん、落ち着いて聞いてくれ。Lは…―――」
その名前を聞いた時、キラ事件で一躍その名を知らしめた彼なのかと思ってはいた。
しかし、まさかそんな形で事件が解決されていたとは。
必死に宥める駿河の隙をつき、病院を飛び出していた。
どうにかかつての対策本部には辿り着いたものの、何度インターフォンを押しても応答はない。
その頃、LはBOYをワイミーズハウスに連れて行っていたことなど、真希には知る由もなかった。
動くに動けず、長いこと座りこんでいた。
「エル…」
もう会えなくても、構わない。
何処かで生きていてさえいてくれれば。
それなのに。
神様はどこまで残酷なのだろう。
溢れる涙を堪えきれず、うずくまった時、頭上で声がした。
「…真希さん…?」
顔を上げると、いつものように背中を曲げて、ポケットに手を突っ込んだ「彼」がいた。
「…L…L!!」
「真希さん…どうして此処に?」
もう会えなくて、構わなかった。
何処かで幸せで過ごしていてくれれば。
それなのに。
運命はどこまで予想外なのだろう。
泣きじゃくりながら抱きつく真希に戸惑いながらも、冷静に問うた。
「真希さん。…何かあったのですか?」
「どうして…!!どうしてLが死ななきゃならないの!?どうして!?」
こうして、目の前にいるのに。
体温を感じるのに。
その低い声も隈に縁取られた瞳も長い手足も明日には失われてしまうだなんて。
「もう嫌だ!お母さんもお父さんも死んで、Lまでいなくなっちゃうなんて!!」
父の非業な最期は、あまりの壮絶さに声も出なかった真希だが、立て続けに失われる命に感情を爆発させた。
大人びてはいるが、彼女もまだ12歳という幼い少女でしかなかった。
また、父の時は復讐という矛先を向ける相手がいたが、今回はどこに怒りや哀しみを持っていっていいのかわからない。
…L自身が出した結論なのだから。
「…私なら大丈夫です真希さん。
後のことはほとんどワイミーズに任せてありますし、死ぬこと自体怖いとも思いません」
Lはいつもの調子で飄々と答える。
「Lの馬鹿!!そうじゃない!そうじゃないよ!!
ワイミーズとか探偵とかどうでもいい!私はただLに生きててほしいだけなの!」
生きていて欲しい。
自分が、ワタリにそう思ったように。
BOYに、真希に、久條にそう思ったように。
同じように、思ってくれている…?
探偵ではない自分など、考えたこともなかった。
「それ」が総てだったから。
「死なない…で…」
真希は手が白くなる程Lのシャツを握り締め、叶わぬ願いを口にする。
「…ありがとうございます真希さん。
たった一人でも、そう言ってくれる存在があったなら、私は生きていてよかったと…思います」
「私だけじゃない…駿河さんだって松戸さんだって、あの子…BOYだってLが死んだら哀しいよ…みんな哀しいんだよ!」
言ったところでノートの運命は変えられるわけではない。
それでも、伝えずにはいられなかった。
自分のことにはとことん無頓着で鈍感な彼に。
「真希さん、人はいずれ必ず死ぬんです。死は遅かれ早かれ万人に等しく訪れます。
喪失の哀しみを乗り越えて、生きていかなければならないこともあります」
言い聞かせるような言葉に、真希は耳を塞いで首を振る。
わかっている。わかっているけど、気持ちは追いつかないのだ。
そんな真希の両手をそっと取ると、Lは真摯な眼差しで語りかけた。
「あなたが私を悼んでくれるのなら、私の知らない世界を沢山見て、知って、教えて下さい。
お父さんやお母さんやその次で構いません。思い出した時にでも」
そう、あのクマのぬいぐるみに語りかけるように。
「知らない…世界…」
「えぇ、私には知識としてはあっても、実際見聞きしたり、経験したことは少なかったりしますから」
叶うなら、もう少しだけ生きて、それらを試してもみたかったのだが。
そして何より、BOYや真希の成長も見てみたかったのだが…。
「まだ遅くない、L!」
見透かしたように、真希は声を上げた。
「ずっと行きたかった場所があるの。一緒に行こう、L」
病院を抜け出して、どのくらい経っただろう。
「駿河さん…私いつごろ退院出来るかな?退院したらLに会いに行きたい。お礼が言いたい」
真希の問いに、駿河は声を詰まらせ、表情を曇らせた。
Lがどのようにしてキラ事件を解決したかを聞いていたからだ。
『駿河さん、真希さんは強い子ですでも。何かあったら彼女の力になってあげて下さい』
身寄りを亡くした真希を思い、クマのぬいぐるみと共にLから託された言葉。
少女の真っ直ぐな瞳は、優しい嘘では誤魔化せそうになかった。
「真希ちゃん、落ち着いて聞いてくれ。Lは…―――」
その名前を聞いた時、キラ事件で一躍その名を知らしめた彼なのかと思ってはいた。
しかし、まさかそんな形で事件が解決されていたとは。
必死に宥める駿河の隙をつき、病院を飛び出していた。
どうにかかつての対策本部には辿り着いたものの、何度インターフォンを押しても応答はない。
その頃、LはBOYをワイミーズハウスに連れて行っていたことなど、真希には知る由もなかった。
動くに動けず、長いこと座りこんでいた。
「エル…」
もう会えなくても、構わない。
何処かで生きていてさえいてくれれば。
それなのに。
神様はどこまで残酷なのだろう。
溢れる涙を堪えきれず、うずくまった時、頭上で声がした。
「…真希さん…?」
顔を上げると、いつものように背中を曲げて、ポケットに手を突っ込んだ「彼」がいた。
「…L…L!!」
「真希さん…どうして此処に?」
もう会えなくて、構わなかった。
何処かで幸せで過ごしていてくれれば。
それなのに。
運命はどこまで予想外なのだろう。
泣きじゃくりながら抱きつく真希に戸惑いながらも、冷静に問うた。
「真希さん。…何かあったのですか?」
「どうして…!!どうしてLが死ななきゃならないの!?どうして!?」
こうして、目の前にいるのに。
体温を感じるのに。
その低い声も隈に縁取られた瞳も長い手足も明日には失われてしまうだなんて。
「もう嫌だ!お母さんもお父さんも死んで、Lまでいなくなっちゃうなんて!!」
父の非業な最期は、あまりの壮絶さに声も出なかった真希だが、立て続けに失われる命に感情を爆発させた。
大人びてはいるが、彼女もまだ12歳という幼い少女でしかなかった。
また、父の時は復讐という矛先を向ける相手がいたが、今回はどこに怒りや哀しみを持っていっていいのかわからない。
…L自身が出した結論なのだから。
「…私なら大丈夫です真希さん。
後のことはほとんどワイミーズに任せてありますし、死ぬこと自体怖いとも思いません」
Lはいつもの調子で飄々と答える。
「Lの馬鹿!!そうじゃない!そうじゃないよ!!
ワイミーズとか探偵とかどうでもいい!私はただLに生きててほしいだけなの!」
生きていて欲しい。
自分が、ワタリにそう思ったように。
BOYに、真希に、久條にそう思ったように。
同じように、思ってくれている…?
探偵ではない自分など、考えたこともなかった。
「それ」が総てだったから。
「死なない…で…」
真希は手が白くなる程Lのシャツを握り締め、叶わぬ願いを口にする。
「…ありがとうございます真希さん。
たった一人でも、そう言ってくれる存在があったなら、私は生きていてよかったと…思います」
「私だけじゃない…駿河さんだって松戸さんだって、あの子…BOYだってLが死んだら哀しいよ…みんな哀しいんだよ!」
言ったところでノートの運命は変えられるわけではない。
それでも、伝えずにはいられなかった。
自分のことにはとことん無頓着で鈍感な彼に。
「真希さん、人はいずれ必ず死ぬんです。死は遅かれ早かれ万人に等しく訪れます。
喪失の哀しみを乗り越えて、生きていかなければならないこともあります」
言い聞かせるような言葉に、真希は耳を塞いで首を振る。
わかっている。わかっているけど、気持ちは追いつかないのだ。
そんな真希の両手をそっと取ると、Lは真摯な眼差しで語りかけた。
「あなたが私を悼んでくれるのなら、私の知らない世界を沢山見て、知って、教えて下さい。
お父さんやお母さんやその次で構いません。思い出した時にでも」
そう、あのクマのぬいぐるみに語りかけるように。
「知らない…世界…」
「えぇ、私には知識としてはあっても、実際見聞きしたり、経験したことは少なかったりしますから」
叶うなら、もう少しだけ生きて、それらを試してもみたかったのだが。
そして何より、BOYや真希の成長も見てみたかったのだが…。
「まだ遅くない、L!」
見透かしたように、真希は声を上げた。
「ずっと行きたかった場所があるの。一緒に行こう、L」
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