2008-07-07 [Mon]
LcWネタバレ、L真希SS「おかえりなさい」後編です。
真希がLを連れ出したのは、遊園地のナイター営業だった。
幸い夏休み中で遅くまで営業していた。
「…本当はお父さんや…久條さん…と来たかったんだけど」
久條にはまだ複雑な思いを隠し切れないのか、そこだけ声が小さくなる。
「いつか、彼女が罪を償って帰ってきた時、一緒に連れてきてもらって下さい」
Lがいちごアイス入りの限定クレープを食べながら、ぽんぽん、と頭を撫でる。
「……うん。あっ、L次あれ!あれに乗りたい!」
くるくる、きらきら回る景色の中で、
真希が、笑う。
つられて、Lも笑う。
たくさんの、見たことのない景色の中で、
兄妹のように、幼い恋人達のように。
「見て見てL、小さな池がある」
指差す真希に、Lがライトアップされた橋のたもとの立て札を見やる。
「…この橋を渡るとしあわせになれるそうです」
「素敵!ほらL早く早く!」
嬉しそうに渡る真希が手招きするが、Lはその場に立ち尽くしている。
「…私はもう、十分しあわせですよ。
ある間抜けな刑事に、自分の為に時間を使え、デートでもしろと言われましたが、それも叶ってしまいました」
デート、という言葉に幾分顔を赤らめた真希だが、渡りかけた橋を戻ると強引にLの手を取った。
「いいから、ほらっ!」
ぽすん、と、真希の肩にLの頭が乗る。いつかとは逆に。
「真希さんあなたに会えてよかった。
どうか、今日のように笑っていて下さい。
…私の最期の願いです」
『最期』という一言に真希はまた涙が溢れそうになったが、歯を食いしばり、天を仰いでそれをしのいだ。
そうして、返事の代わりにLの手をぎゅっと握った。
「ありがとう…L」
その時見た彼の笑顔を、きっと一生忘れない。
夢のように過ぎた6日間を、決して…―――。
「お父さんお母さん、ただいま。
今日もいい一日だったよ。
L、今日ね…」
Fin 20080707 七夕の日に。
【あとがき】
ご拝読ありがとうございましたーっ。いつか書きたいと思ってたL真希でしたがいかがでしたでしょうかっ?
実は、L真希で検索されて訪問して下さる方が結構いらっしゃいまして…しかし作品はないという(滝汗)。すすすすすみませんでした。
前作のLとBOYのお話を書いて、L真希バージョンも書いてみたい!と思いついた作品でした。
最初は、Lの死を知らない真希が、後日(数年後?)BOYのところに行く…というつもりだったのですが、それも切ないなぁと。
小説版の真希だと、Lの運命も知ってるんですけどね。
昔の作品ですが、山田圭子さんの「TWO」という漫画に「誰かが心の底から『死なないで』って言ってくれたら、私はいつ死んでもいいんだ」ってくだりがありまして、その辺をモチーフに書かせていただきました。
他にもちょこっと山圭作品をリスペクトしたシーンも。
真希がLのところに行くのに、偶然にまた佐々木タクシーを使ったとかのやりとりも考えたのですが、今回はボツに(苦笑)。制作費の関係でお蔵入りしたというスピンオフ佐々木のイメージで書きたかったりもしたのですが。
Lと真希をクローズアップした方がいいかなぁと。
遊園地以降は行き当たりばったりだったのですが、自分的にとてもいい具合に繋げられたのでよかったです。
本編冒頭に真希ちゃんが久條に言った「一緒に行きたい場所があるの」とか、スピンオフ松田のデート発言とか。
ちなみに遊園地は「L File No.15」の舞台にもなった花やしきをモデルに。行ったことないので、ネットで調べただけですが(苦笑)。
本当は7月はナイター営業ないけど…(爆)。しあわせ橋というものがあったのも話を広げてくれました。
長々と舞台裏を晒してしまいましたが、少しでも気に入っていただけましたら幸いです。
よろしければ、感想お聞かせ下さいね。
幸い夏休み中で遅くまで営業していた。
「…本当はお父さんや…久條さん…と来たかったんだけど」
久條にはまだ複雑な思いを隠し切れないのか、そこだけ声が小さくなる。
「いつか、彼女が罪を償って帰ってきた時、一緒に連れてきてもらって下さい」
Lがいちごアイス入りの限定クレープを食べながら、ぽんぽん、と頭を撫でる。
「……うん。あっ、L次あれ!あれに乗りたい!」
くるくる、きらきら回る景色の中で、
真希が、笑う。
つられて、Lも笑う。
たくさんの、見たことのない景色の中で、
兄妹のように、幼い恋人達のように。
「見て見てL、小さな池がある」
指差す真希に、Lがライトアップされた橋のたもとの立て札を見やる。
「…この橋を渡るとしあわせになれるそうです」
「素敵!ほらL早く早く!」
嬉しそうに渡る真希が手招きするが、Lはその場に立ち尽くしている。
「…私はもう、十分しあわせですよ。
ある間抜けな刑事に、自分の為に時間を使え、デートでもしろと言われましたが、それも叶ってしまいました」
デート、という言葉に幾分顔を赤らめた真希だが、渡りかけた橋を戻ると強引にLの手を取った。
「いいから、ほらっ!」
ぽすん、と、真希の肩にLの頭が乗る。いつかとは逆に。
「真希さんあなたに会えてよかった。
どうか、今日のように笑っていて下さい。
…私の最期の願いです」
『最期』という一言に真希はまた涙が溢れそうになったが、歯を食いしばり、天を仰いでそれをしのいだ。
そうして、返事の代わりにLの手をぎゅっと握った。
「ありがとう…L」
その時見た彼の笑顔を、きっと一生忘れない。
夢のように過ぎた6日間を、決して…―――。
「お父さんお母さん、ただいま。
今日もいい一日だったよ。
L、今日ね…」
Fin 20080707 七夕の日に。
【あとがき】
ご拝読ありがとうございましたーっ。いつか書きたいと思ってたL真希でしたがいかがでしたでしょうかっ?
実は、L真希で検索されて訪問して下さる方が結構いらっしゃいまして…しかし作品はないという(滝汗)。すすすすすみませんでした。
前作のLとBOYのお話を書いて、L真希バージョンも書いてみたい!と思いついた作品でした。
最初は、Lの死を知らない真希が、後日(数年後?)BOYのところに行く…というつもりだったのですが、それも切ないなぁと。
小説版の真希だと、Lの運命も知ってるんですけどね。
昔の作品ですが、山田圭子さんの「TWO」という漫画に「誰かが心の底から『死なないで』って言ってくれたら、私はいつ死んでもいいんだ」ってくだりがありまして、その辺をモチーフに書かせていただきました。
他にもちょこっと山圭作品をリスペクトしたシーンも。
真希がLのところに行くのに、偶然にまた佐々木タクシーを使ったとかのやりとりも考えたのですが、今回はボツに(苦笑)。制作費の関係でお蔵入りしたというスピンオフ佐々木のイメージで書きたかったりもしたのですが。
Lと真希をクローズアップした方がいいかなぁと。
遊園地以降は行き当たりばったりだったのですが、自分的にとてもいい具合に繋げられたのでよかったです。
本編冒頭に真希ちゃんが久條に言った「一緒に行きたい場所があるの」とか、スピンオフ松田のデート発言とか。
ちなみに遊園地は「L File No.15」の舞台にもなった花やしきをモデルに。行ったことないので、ネットで調べただけですが(苦笑)。
本当は7月はナイター営業ないけど…(爆)。しあわせ橋というものがあったのも話を広げてくれました。
長々と舞台裏を晒してしまいましたが、少しでも気に入っていただけましたら幸いです。
よろしければ、感想お聞かせ下さいね。
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